「ワイルド・スピード」シリーズの主人公、ドミニク・トレットの魅力は、悪名高いストリートレーサーで元受刑者であるにもかかわらず、善良な男のように見えることです。
そんな彼の友人や敵は、2005 年のアストンマーティン DB9や2019 年のマクラーレン・720のようなエキゾチックな車に乗っていることが多いですが、トレットはダッジの大ファンです。
しかし、彼の初登場時に乗っていたのは、彼の代名詞であるダッジのマッスルカーではなく、赤いマツダ・RX-7でした。今回はそのドムの RX-7 についてほとんどの人が知らない 10 のことをご紹介いたします。
元々は個人が所有していた

このRX-7は映画用にカスタムされたものではなく、キース・イモト氏が改造・所有していたもので、制作陣が彼から借りたものです。他にも映画に登場する日産・マキシマやトヨタ・スープラも個人から借りたものです。
2000 年にハリウッドのユニバーサル スタジオで開催されたオーディションで、監督とプロデューサーがRX-7を選びました。そのオーディションでヴィン・ディーゼルがハンドルを握り、気に入ったことから映画に登場することになりました。
ベースのRX-7は1993年モデル

キース・イモト氏のRX-7、もといドムのRX-7は1993年式をベースにしています。FDとしても知られるこのRX-7は、第3世代RX-7です。
FD RX-7に動力を供給したのは、255馬力を発生する1.3リッターのシーケンシャルターボチャージャー付きロータリーエンジン「13B-REW」でした。
FDは正確なハンドリングが高く評価された車で、フロントミッドシップのエンジンレイアウトにより、車の前後重量配分が50:50となり、低重心化に貢献しており、依然として世界で最もバランスのとれた車の1つです。
体が入らなくてロールケージを取り外した

先述のようにこのRX-7はキース・イモト氏が改造・所有していたもの。彼は安全性を重視し、ロールケージを装着していました。
しかしドミニク・トレット役の俳優、ヴィン・ディーゼルはかなり大柄で筋肉質な方です。したがって、彼が乗り込むには大変窮屈であったため、ロールケージは撤去されてしまいました。
ニトロ以外は本物

ドムのRX-7はいくつかのチューニングを特徴としていました。リビルトされた13B-REWロータリーエンジンには、増大したパワーブーストに対応するために3mmのアペックスシールが移植されました。エンジンは純正の255馬力と比較して、380馬力を発生することができました。
しかし、映画で見たものとはかけ離れ、象徴的なニトロシステムは偽物で、木のブロックを金属に見えるように塗装した物でした。
合計5台のRX-7が映画に使用された

ワイルドスピードでは映画で登場する車1台に対して、基本的に3〜4台のバックアップカーが用意されていたました。メインカーは「ヒーロー」または「プリンシプル」と呼ばれ、破壊されることはありません。
RX-7が登場するシリーズ1作目ではヒーローに加え、スタント用に2台、運転用に1台、特殊効果と詳細な内部ショット用に1台の合計5台が使用されました。これらのクローンはすべて「ヒーロー」カーのように塗装されていますが、エンジンはノーマルで、マフラー以外は改造されませんでした。
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映画に合わせてボディ色が変更された
映画ではドムの車は赤色ですが、元々はシルバーに塗装されていました。余談ですがポール・ウォーカーの緑色の三菱エクリプスも、元色はシルバーでした。
映画ではコンピューターが生成した排気音が使われている

ロータリーエンジンのファンなら誰でも、ドムのRX-7の排気音に違和感を覚えたと思います。
制作チームは、トヨタの1JZ および 2JZ エンジンからの音をミックスして使用しており、他にもライオンの咆哮やうなり声も使っていたとのこと。いずれにせよ、サウンドが素晴らしかったことには誰もが同意します。
派手なサウンドシステムは搭載されていなかった

映画『ワイルド・スピード』では、ドムの RX-7の後部に大袈裟なオーディオ システムが搭載されているのがわかります。
しかし、キース・イモト(オーナー)が車を元の軽量な状態に保つことにこだわったため、ドムのRX-7には純正のサウンドシステムが搭載されていました。
制作陣はレプリカの1台に派手なサウンドシステムを搭載した車があり、サウンドシステムを撮影するときのみレプリカを使う事で、ドムの “ヒーロー “1台に派手なサウンドシステムが搭載されているように見せたようです。
RX-7があまり映らなかった理由

この赤いマツダ RX-7 は、『ワイルド・スピード』シリーズの代名詞であるドラッグレースで、主人公ドムが運転する最初の車です。にも関わらず、所々でちらっと映った以外はなぜほとんど映画に出て来ません。
同映画テクニカル アドバイザーのクレイグ・リーバーマン氏によると、「そのような決定は監督、編集者、脚本家が担当しており、脚本の要求を超えて車の上映時間を延長する理由はなかった」とのことです。
映画の後、ドムのRX-7はどうなったのか

映画『ワイルド・スピード』の製作終了後、ドムのRX-7と他のスタントカーは別の場所に行きました。
制作陣はスタントカーの 1 台を保持し、『ワイルド・スピード』続編 ワイルド・スピード2に登場しました。別の1つは初代バットモービルを制作したデザイナー、ジョージ・バリス氏に売却され(その後、オランダの別のバイヤーに売却された)、他の2つはラスベガスとフロリダの美術館が購入しました。
ドムの「ヒーロー」はとある保管施設に保管されていますが、オリジナルの部品のほとんどが欠けています。