1985年に日産スカイラインが世界で初めて採用した四輪操舵システム。このシステム自体は第二次大戦前のドイツの車にも採用されており、1971年のアポロ計画の月面車にも採用された。1980年代当時の四輪操舵システムは発展途上で、ステアリングフィールに違和感があり、長続きはしなかった。しかし、最近では高級車を中心に採用されているケースが多い。
4輪操舵とは?

四輪操舵とは、ハンドルをどちらかの方向に切ったときに、ドライバーが 4つの車輪すべてに舵角を与える事ができる機構。取るに足らない機能のように思えるかもしれないが、様々なメリットがある。
- 回転半径が小さくなる: 四輪操舵システムにより、駐車時や Uターン時に車両をよりきつく回転させることができる。
- 高速での安定性の向上: 車両の制御が容易になるため、高速での安定性が向上する。
- ステアリング応答の向上: 四輪すべてがステアリング入力に応答するため、四輪操舵システムを備えた車両では、ドライバーがハンドルを切ったときの応答性が大幅に向上する。
- 車線変更がスムーズになる: 4 つの車輪がすべて同じ方向に向いている場合、よりスムーズに車線変更を行える。
低速旋回

たとえば、Audi A8のような四輪操舵を備えた車の場合、低速でののコーナリング時、2つの後輪が前輪と反対方向に向く。後輪がステアリング方向と逆方向に曲がると、より迅速なターンインが可能になり、全体の回転円が約1メートルも減少するという。
これは、後輪が前輪と反対方向に回転し、回転半径が小さくなり、俊敏性が向上するため、「逆位相操舵」と呼ぶ。これは、バンのような大型車やアウディ A8のような大型車に特に役立つ。
高速旋回

高速域では後輪は前輪と同じ方向を向く。これを「同位相操舵」と呼ぶ。この同位相操舵では、車の傾きが少なくなることにより、車線変更時に車両がより安定し、横滑りを防ぐことができる。
デメリットは?
四輪操舵は通常、電気部品と機械部品で構成されている。その一部が故障すると、メカニズム全体が故障する可能性が高く、修理には長い時間がかかる場合がある。また通常の前輪操舵のみの車に慣れている人だと、思っているよりも車が曲がり、違和感を覚える人もいるかもしれない。
なぜ四輪操舵は復活したのか?

近年では衝突安全性や、標準装備として最低限装備しないといけない機能が増えたことにより、車が大きくなってきている。車が大きくなれば、当然最小回転半径も大きくなる。そこで活躍するのがこの四輪操舵システムだ。一度衰退したこの技術だが、約20年以上の時の流れの中で技術も進歩し、より違和感のないものを作れるようになった。今ではレクサスLCや一部のBMW、アウディから、フェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーでも採用される四輪操舵。今後の高級・高性能モデルではこのシステムなしには語れない!なんて日が来るかもしれないので、以後お見知りおきを。