アメリカンドリームという言葉があるように、アメリカ人は何かと派手な夢を見て、それを実現するように思えます。例えば、世界で一番長い車はその名も「アメリカンドリーム」という車ですし、世界で一番デカいショッピングカートもアメリカ製です。
以前、フォルクスワーゲン・ビートルにジェットエンジンを搭載した車をご紹介しましたが、ゴーカートにもジェットエンジンを載せたアメリカ人がいます。
アメリカのYoutubeチャンネル「Warped Perception」というチャンネルのマット・ミッカ氏が公開している動画は、現在635万回再生を記録し、世界中の人々に次なる夢を与えています。
ジェットエンジン搭載のゴーカート

このゴーカートのジェットエンジンは、ガソリンやディーゼルエンジンのように車輪を「駆動」するのではなく、「押す」「推力」というメカニズムで動いていることも興味深いポイントです。ジェットエンジンは車輪を転がすのに十分な運動量を与え、高速で走り続けるための推進力を得ることができるのです。
ミッカはまず、ゴーカートから既存のディーゼルエンジンを取り外し、車軸からチェーンも外して転がり抵抗を削減しました。さらに、ジェットタービンのマウントを製作し、そのための頑丈なサポートフレームを溶接、さらにデジタルで構造設計を行いました。
ジェットエンジンで走るゴーカートですから、当然ジェット燃料を使います。ミッカの場合は、ジェット燃料80パーセント、水20パーセントの乳白色のハイドロジェットAを7.5L使っています。余談ですが、商業飛行用のジェット燃料には水が含まれていません。高高度で気温が低くなると、水が過冷却されて凍結し、燃料の注入口を塞いでしまうことがあるからです。このゴーカートはまだ空を飛ばないので、燃料に水を混ぜても問題ありません。
この見事なゴーカートの製作を終えたYouTuberは、すべてがうまくいったことを誇りに思うと同時に、タービンを搭載したゴーカートがかなり軽量であることも気に入っているようです。
技術的に非効率

ジェットエンジンは、飛行中のような摩擦の少ない状況で最も効果を発揮します。飛行機は離陸して巡航高度に達すると、パイロットはエンジンの出力を最大出力の10~15%程度に抑えますが、これは離陸時よりも少ない推力で飛行機を飛ばすためです。
道路を走る車では、車輪の摩擦が大きいため、タービンを常にフルパワーで動かす必要があり、効率的ではありません。タービンを搭載したレーシングカーが不向きなのも、このためかもしれません。
ジェットエンジンを搭載した車は存在した

一般車ではかつて、クライスラーがガスタービンエンジンを搭載した試験的な 2 ドアハードトップクーペ「ターバイン(タービン)」を制作していました。この車は事実上、どんなものでも燃料に使用することができ、シャネルの香水や、テキーラを燃料にして動いたそうです。
残念ながら、燃費の悪さなどの問題から完全な生産車にはなりませんでしたが、アメリカ人がいる限りジェットエンジンを搭載した車の夢は潰えないのかもしれません。