タイヤには、オールテレーンタイヤから氷の状況に対応するように設計されたタイヤまで、さまざまな種類がる。そして何十年にもわたって、タイヤ技術が大幅に向上し、トラックやSUVでもかなり優れた性能を発揮するオールシーズンタイヤの作成が可能になった。住んでいる場所にもよるが、オールシーズンまたは全天候型タイヤは、1年を通して使用できる。これにより、冬用タイヤの必要性が軽減される。
オールシーズンタイヤとは?
オールシーズンタイヤは、夏のアッツアツの路面から真冬の雪道まで、オールシーズンで走行できるタイヤのこと。従来のように、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤをシーズンごとに交換する必要がなく、昨今人気が高まりつつある。
なぜオールシーズンで走れるのか?
オールシーズンタイヤは特殊なコンパウンド素材を採用している。 夏タイヤは冷えて温度が下がるとゴムが硬くなるのだが、特殊なコンパウンド素材により低温下での柔軟性を高ることができる。また、降雨時の排水性を高めるトレッドパターンを採用するなど、晴れた日の乾いた路面だけでなく、降雪路からウェット路面まで対応できるようになっている。
さらに、タイヤの側面部分に「スノーフレークマーク」の表示があるオールシーズンタイヤでは、冬の高速道で「冬用タイヤ規制」が実施されている場合でも走行が可能だ。また、「M+S」という表示のあるオールシーズンタイヤは、より雪道で走行できるようなトレッドパターンになっているので、ぬかるんだ道や雪道を走ることができる。
オールシーズンタイヤの性能
冬用タイヤ規制の道も走れるオールシーズンタイヤだが、スタッドレスタイヤと同等の性能はないので注意が必要だ。JAFが行った、ノーマルタイヤ、スタッドレスタイヤ、オールシーズンタイヤの3種類のタイヤを用いた、圧雪路と氷盤路での時速40kmからの制動距離を計測するテストによると、圧雪路での試験結果は、スタッドレスタイヤが17.3m、オールシーズンタイヤが22.7m、ノーマルタイヤが29.9mだった。オールシーズンタイヤはノーマルタイヤより短い距離で停止できたものの、スタッドレスタイヤに比べて5m以上も制動距離が延びる結果となった。
また、氷盤路での試験結果は、スタッドレスタイヤが78.5m、オールシーズンタイヤが101.1m、ノーマルタイヤが105.4mであった。オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤに比べて20m以上も制動距離が延びており、むしろノーマルタイヤに近い結果だった。
この実験結果から、雪道での性能はスタッドレスタイヤに劣るものの走行は可能だが、氷盤路ではスタッドレスタイヤに比べ性能が低く、ノーマルタイヤとほぼ同等ということが分かる。
オールシーズンタイヤは雪道でも走れるのか?
スタッドレスタイヤは氷盤路でも走行できるが、オールシーズンタイヤはノーマルタイヤとほぼ同じ性能で、スリップするリスクが高い。オールシーズンタイヤで走行できるのは、雪が1~2mm積もった道や、雪が積もって固まっている圧雪路だ。そのため、雪が多い地域や、路面凍結しやすい地域ではスタッドレスタイヤを装着した方が安全。オールシーズンタイヤは降雪や路面凍結が少ない地域での利用をおすすめする。