気候変動の懸念やその他の要因により、多くの自動車メーカーが電気自動車の開発を進めている。いくつかのメーカーは2030 年までにモデルラインナップの全て電動にすることを発表しており、2025年にはジャガーは電動モデルのみしかラインナップしない可能性がある。ダッジはまったく新しい「eMuscle」が筆者が愛するチャージャーとチャレンジャーを”退位”させるとさえ発表した。
ガソリン車は最終的に消滅するようだが、多くの疑問が生じている。果たして電気自動車は、私たちが何十年も運転してきたガソリン車よりも長持ちするのだろうか?電気自動車はメンテナンスが容易な面もあるが、その反面、電気自動車ならではの問題もある。
EVは何キロ走れる?

どの車にも言えることだが、車の寿命は何年にもわたってどれだけ手入れをするかによって決まる。ガソリン車と電気自動車は、定期的なタイヤのローテーション、ブレーキ液の補充、フロントガラスのワイパーの交換、洗車などを行う必要がある。ただし、ある電気自動車のオーナーによると、電気自動車には交換する高価な部品がほとんど無いと言う。
ガソリン車のエンジンとトランスミッションは、間違いなく最も重要なコンポーネント。両方を長持ちさせることはそれほど難しくはないが、いくつかの要因により劣化が早まる可能性がある。定期的に”速すぎる”運転をすると、エンジンに十分なオイルやクーラントを供給できないため、エンジンに負担がかかる可能性がある。
エンジンもトランスミッションも、カムシャフトやヘッドガスケットなどの小さなコンポーネントで構成されているため、早期に故障する可能性がある。完全に新しいエンジンが必要な場合は、平均的な4気筒エンジンで少なくとも30万円は必要だ。新しいトランスミッションに交換すると、中古車を購入したほうが安い場合もある。
これが、ある電気自動車オーナーが、電気自動車は通常、ガソリン エンジンを搭載した車両よりも長持ちすると述べている主な理由。心配するメンテナンスの予定が少なく、EVにはエンジンや多段変速機がないため、これらの部品に問題はない。電気自動車を運転すれば、修理費を節約できるだけでなく、昨今のガソリン価格上昇を気にする事もなかったと言う。
EVの最も高価な修理は何か?

電気自動車の最も高価な修理は当然バッテリーの修理。ガソリン車のバッテリーと同様に、EV のバッテリーは長期間の使用により最終的に劣化してしまう。しかし、ガソリン車のバッテリーとは異なり、EV のバッテリーは通常、少なくとも70万円はかかる。日産が実施しているバッテリーの交換プログラムによると24kWhが71万5000円。40kWhが90万2000円。これらに工賃で4~5万円ほどかかるとの事。
ただし、電気自動車のバッテリーは交換が必要になるまで平均10年はかかる見通し。10年あればガソリンエンジンを搭載した車の多くの車は10万キロ以上走行するだろう。しかし、この10年の間にガソリン車のエンジンコンポーネントはノートラブルでいられるだろうか?
それに対し、例えばトヨタが発表した電気自動車「bZ4X」は、10年間あるいは20万kmの使用でも70%程度の劣化にとどまるバッテリーが採用・保証されている。
電気自動車ならではの欠点

高価なバッテリーが必要であることに加えて、今日の電気自動車は衝突後の修理の問題に直面している。電気自動車はまだ比較的市場に出回っていないため、交換用のボディやバッテリーハウジングなどの部品を見つけるのは難しい場合がある。さらに、電気自動車は通常、高価な技術 ( テスラのオートパイロットなど) を備えており、修理にはより多くの専門知識が必要な場合もある。
また、充電インフラは多くのドライバーにとって大きなハードルとなっている。多くの都市や郊外にはEV 充電ステーションがあるが、農村地域は比較すると当然少ない傾向にある。
さらに、電気自動車のリセールの見通しはまだそれほど良くはない。ガソリン車に比べて販売実績が少なく、需要のバランスが見込みづらい面や、先述のようにバッテリーの劣化の問題などの要素が絡んでいるためだ。
しかし、日進月歩でバッテリーやバッテリー関連の技術は進歩している。長寿命バッテリーが普及するにつれて、電気自動車のリセールも高くなっていくことだろう。