【550馬力！】フェラーリのエンジンをぶち込まれたAE86

日本のみならず、世界中で幅広い年齢層に愛されている車「AE86」。そんなAE86にフェラーリのエンジンをぶち込んだ男がいるのをご存じでしょうか？

その男の名はフェルナンド・モンテロ。彼はウルグアイのレーシングドライバーであり、医学博士でもあるという非常に優れたスペックの持ち主です。そんな彼はどのようにしてこの傑作を作り上げたのでしょうか？詳しく見ていきましょう！

ユニークなカスタムカーの誕生

モンテロ氏の母国ウルグアイでは、当時公式にAE86が輸入されたことは無く、それゆえに非常に希少な存在だと言います。彼はこのAE86がウルグアイ唯一のものであると信じ、15年以上所有しています。

このプロジェクトは非常に困難なスタートから始まりました。モンテロ氏は、非常にぼろぼろの個体を購入したと述べ、そのままでは使い物にならない状態でした。しかし、彼はこのカスタムカーを所有するために7年間にわたり貯金をし、改造プロジェクトをスタートさせました。]

当時、医学生だった彼は、貯金を積み重ねながら少しずつ改造を行い、パワー不足のままでドリフトトレーニングを行いました。モンテロ氏はこの車に対する愛情を深く抱き、その車を知り尽くしていました。

エンジンの進化

初期の4AGエンジンは後に3SGE（SW20 MR2などに搭載されていたエンジン）に置き換えられ、さらにスーパーチャージャーを搭載してアップグレードされました。そして、このカスタムカーに最も注目すべき点は、トヨタAE86にフェラーリのエンジンを搭載したという斬新なアイデアです。

モンテロ氏はこのプロジェクトをライアン・タークのGT4586へのオマージュと呼び、その実現に多くの友人たちの協力があったことを強調しています。

ライアン・タークはこのエンジンスワッププロジェクトに特別なデザインのヘッダーや部品供給で貢献し、モンテロ氏にとっては尊敬する友人でもあります。

尚、モンテロ氏はライアン・タークとは直接会ったことがないものの、ガズー・レーシングがウルグアイにドリフトパークを建設する計画が進行中で、その完成時にはタークやその他の友人たちが訪れる予定です。

エンジン制御と安全

このカスタムカーの最大の課題の1つは、フェラーリのエンジンを正常に制御するための電子機器でした。自動車部品の開発と製造を専門とする国際企業FuelTech社と、その創設者兼オーナーのアンダーソン・ディックはこのプロジェクトに協力し、エンジンの制御や電力供給に貢献しました。

FuelTechのデバイスであるFT600は、デジタルディスプレイ、データロガー、車両ECU、電源管理、エンジンの起動および点火装置を一つに統合し、この特異なエンジンの制御に役立ちました。

さらに、安全性を確保するためには追加の対策が必要でした。車両全体にロールケージが取り付けられ、キャビン内とエンジンルームにまたがる設計となりました。特注のガセットも使用され、運転席にはタカタハーネスを備えたBride製バケットシートが設置されました。

ユニークなショーと将来の展望

このカスタムカーは、主にドリフトと慈善活動のために使用され、さまざまなイベントでショーを行うことがあります。フェラーリのエンジンを80年代のトヨタカローラに搭載したアイデアは、元々の設計では想定されていなかったため、冷却と注油は特に重要でした。独自のヘッダーや排気クリアランス、カスタムライン、ドライサンプシステムが設計され、過酷な状況でもエンジンの健康を確保しました。

このカスタムカーはウルグアイ全土で唯一のAE86であり、スーパーカーの心臓を持つユニークなクルマとして、自動車愛好家の注目を集めています。このカスタムカーの物語は、未来に向けてさらに興味深い展望を示唆しています。