映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」では「2015年には車は空を飛んでいる」と描かれていた。残念ながら2022年現在、空を飛んでるのは航空機と愛車に糞を落とす鳥たちだけだ。しかし、車が空を飛ぶ時代はもうすぐかもしれない。今回はスロバキアで開発途中の空飛ぶ車、Aircarをご紹介する。
Aircarとは

AircarはスロバキアのKlein Vision社が手がける空飛ぶ車。「空飛ぶ」「車」なので航空機としても、自動車としても使える。エンジンはBMW製の1.6Lエンジンに固定プロペラを搭載。燃料は普通の車のようにガソリンスタンドで販売されているもを使用する。飛行高度は2500m、離陸時には190km/hもの速度に到達する。車両重量は1000kgのツーシーター車両。2017年から最大で8名がこのプロジェクトに取り組み、作業時間は合計で10万時間にも上ったという。

飛行と走行の両モードからの切り替えはなんと3分で完了してしまう。飛行から走行モードに切り替わる際は両翼を折り畳み、尾翼を格納することでコンパクトに収まる。航空灯はそのままテールランプになる。れっきとした航空機なのでパイロットの免許は必要となる。

このAircarは今まで200回以上の離着陸に成功しており、2022年1月には強度や飛行性能が一定の基準を満たし、安全に飛べると認められた証しである耐空証明(欧州航空安全機関)を取得した。この証明によりEUのどの国でも、当局が認めれば離着陸ができる。現在はアメリカ連邦航空局の認可も申請中との事。

同社は現在、次期モデル「AirCar Prototype 2」を開発中で、300馬力のエンジンと可変ピッチプロペラを搭載し、巡航速度は時速300km、航続距離は1000kmを目指している。この1000kmというのは羽田空港から長崎空港までの直線距離に近い距離だ。

この「Aircar」は何と購入する事ができ、すでに一部の選ばれた顧客から受注を開始しているとの事。値段は5300万円~1億2000万円で2023年の後半には納入を開始するとの事だ。
日本ではどうなるの?

先述のように「空飛ぶ車」自体は存在する。しかし、日本では様々な課題をクリアせねばならず、実用には至ってない。その課題点としては
・航空法などの法整備
・離発着場所や充電場所などのインフラ整備
・管制塔に代わる管理システムの開発
などが挙げられる。
現在、自動車などのモビリティー業界は「100年に一度」と呼ばれる大変革の時を迎えている。実現には多くの課題が残っているが、人々が空飛ぶクルマで大空を旅する日が近いかもしれない。