トヨタ・GR86は日常的に使えるスポーツカーです。スバル製ボクサーエンジン、快適なインテリア、そしてトヨタ・ガズーレーシングによって調整されたドライビングダイナミクスを備えています。
しかし、とあるGR86オーナーのジェフ・ウッドラフ氏にとって、この車は工場出荷時の仕様では十分ではありません。そのため、ピカピカの新しい GR86 が納車されると、彼は近所をドライブすることすらなく、すぐさまエンジンを 2JZ GEに交換し、ターボチャージャーを取り付け、洗練されたGreddy ボディキットを取り付けました。
自動車愛好家でビデオグラファーのラリー・チェン氏は、最近、この狂気の改造を映したビデオを自身の YouTube チャンネルにアップロードしました。
このトヨタGR86は何にインスパイアされて作られたのか?

この2JZにエンジンスワップしたGR86のオーナー、ジェフ・ウッドラフ氏は「真新しい車を購入し、台無しにするような改造をしたい」と常々考えていました。
そしてある時、彼の従業員の一人がGR86を購入した事をきっかけに、その望みは叶います。従業員のGR86に車高調を入れて一緒に近所を走らせたときに彼はGR86に惚れたのです。彼は、日本のドリフト界のレジェンドである斉藤大吾氏が、2台のGR86に同じようなエンジンスワップを行ったことから、今回の製作のインスピレーションを得たといいます。
しかし、改造のベースとなるGR86を見つけるのは、ウッドラフ氏にとって難しいことでした。GR86はアメリカでも供給が追いついておらず、簡単には入手できないからです。
彼は、オリジナルのブラックカラーで、マニュアルの車を求めていました。そこでアメリカ中のトヨタのディーラーに電話をかけ、ウッドラフ氏はようやく自分の仕様に合ったGR86を手に入れることができました。
ボンネットの下に眠る2JZ

車のエンジンスワップは、思っているほど簡単ではありません。まず、ウッドラフ氏は、より大型のエンジンと新しいギアボックスを取り付けるために、エンジンルームとトランスミッショントンネルを加工する必要がありました。
また、エンジンスワップにあたり、ターボチャージャー、多層ガスケット、最新のピストン、ベアリングを取り付けました。
ウッドラフ氏はこのGR86の制作にあたり、ストリートカーとしての製作をターゲットにし、馬力は比較的控えめにすることにしました。その結果、このGR86はすべての改造を施して500馬力を発生。この数値は、235馬力を発生するノーマルエンジンを大きく上回ります。
興味深いことに、この車は純正ディファレンシャルを使用しています。これ以上出力を上げると、デフだけでなくトランスミッションにも負担がかかるとウッドラフ氏は指摘しています。
美しいエアロをまとった2JZ GR86

Greddy Pandemのボディキットは、このGR86に非常に良く似合っています。ウッドラフはこのキットに感激し、実車を手に入れるよりもかなり前に購入していました。アグレッシブなバンパーが前後についていて、機能的なエアロパーツが装着されています。また、ホイールアーチ、サイドスカート、スポイラーも特徴的です。これらすべてが、このGR86を際立たせています。
室内にもいくつかのアップデートが施されています。ジェフはBrideレーシングシートとスエードVertexステアリングホイールを採用しました。また、この車にはアフターマーケットのデジタル計器クラスターも装着されています。これらを除けば、このGR86のインテリアはオリジナルに近いままです。