シンメトリー効果と言って、人は完全な左右対称な物に対して、美しいという印象を持つとされている。しかし!マクラーレンF1や一部のサーキット向け車両を除いて、ほとんどの車の運転席は中央にはない。国によって、運転席は車両の左側または右側にある。一体なぜ運転席が車の真ん中にないのだろうか?
運転席が車の左右どちらかにある理由
ステアリングコラムを左右どちらかに配置する必要がる

機械的な観点から、ステアリング コラムは車の左側または右側に配置する必要がある。ほとんどのガソリン車はフロントにエンジンが搭載されており、ステアリングコラムは、ボンネットの下にある他のステアリング コンポーネントに接続するためのスペースが必要となる。ステアリングコラムが車の中央にあると、エンジンが邪魔になってしまう。他のステアリングコンポーネントをエンジンの周りに配置することもできるが、車両が重くなり、設計が複雑になりコストもかかる。
視認性の低下

シートを中央に配置すると、ドライバーは道路の中心線からさらに離れてしまう。その結果、交差点などの角の周りが見えにくくなる恐れがある。日本のように左側通行の場合、車体の右側に運転席があった方がすれ違いや右折時などに視界が広く確保できる。
利用可能な座席スペースが少ない

運転席を車の中央に移動すると、利用可能な座席スペースも少なくなる。従来のシート レイアウトでは、通常、運転席と助手席に十分なスペースがある。
しかし、運転席を中央に配置すると、前席は3席でも、左右の助手席はあまりスペースがない。車の幅を広げることはできるが、より風の抵抗が大きくなり、車両の操縦や駐車が難しくなるなどの悪影響が生じる。
車の乗り降りが難しくなる

運転席を車の中央に配置すると、運転手は、運転席の左側または右側の領域をぎこちなく這わなければならず、乗り降りがしにくくなる。これは、スーパーGTなどの多くのレースカーがまだ左側または右側に運転席を持っている理由の1つだ。