制限速度があるのに、なぜ自動車はそれ以上速度を出すことができるのか?現にちゃんと制限速度を守ってる車・バイクは少数派だし、そんな彼らはルールを守っているのに、煽り運転の被害にすら合ってる。そこでなぜ車は制限速度以上出せる作りなのか、また今後日本で導入されるかもしれない自動速度制御装置について解説していく。
制限速度以上出せる理由
自動車メーカーが制限速度を超えるように設計している理由はいくつかあるが、その中で代表的な理由を3つ紹介する。説明の為に制限速度を100km/hとする。
命を守るため

東日本大震災の津波の速度は115km/hだったと言われている。 また2014年8月に広島で発生した土砂災害は瞬間で最大時速108~144km/hに達したとみられている。このような自然災害や事故を回避するため等の非常事態では、100km/hの法定速度を超えるスピードを出さなければと身を守れないケースも予想できる。なので、このような緊急時のためにも、100km/h以上のスピードを出せるように作られているのだ。ただしトイレを我慢することは、緊急事態ではない。警察に捕まったときにこの言い訳を使う人もいるが、スピード違反を正当化するものではない。
車が重くてもスピードを出せるようにするため

人間も車も体重(車重)が重くなればなるほど大きな力を必要とする。人間の場合、消費カロリー(kcal) は
メッツ(身体活動の強さ)×体重kg×運動時間 ×1.05
なのでジョギング20分7メッツとすると、体重50kgの人だと「117kcal」体重80kgの人だと「187kcal」消費(必要と)することになる。車も負荷(重量)によって必要になるパワーが異なることを考慮して、法定速度以上のスピードを出せる性能を備えている。
燃費を向上させるため

自動車メーカーが速度制限を超えるように車を設計するもう 1 つの理由は、燃費を向上させるためだ。100km/hの制限速度を超えることができる車を設計することは、トランスミッションにも関連するため燃費にとっても有益。より速い速度で走れるように設計されたトランスミッションは、消費するガソリンの量を減らすことができる。大きなギアを回すには、かなりのエネルギーが必要となり、車両の速度能力が高くなければ、大きなギアを効率的に回すことはできない。
EUでは自動速度制御装置の搭載が義務化

ここまで記事を読んで「じゃあ道によって出せる速度を自動的に制限すればいいじゃん」と思った方もいるかもしれない。EU欧州連合では2022年7月から発売される新型車に、ISA(自動速度制御装置)の搭載を義務付けている。
この装置はさまざまな方法を使用して、ドライバーがスピード違反をしているかどうかをチェックする新しいスピード違反防止技術。ISAが速度超過を検出すると、複数の方法でドライバーに警告、または制限速度内に収まるように車両の速度を下げることもできる。
このISA搭載を義務付けたのはEU欧州連合での話だが、日本も無縁とは言えない。国土交通省は2017年頃からISAの有識者会議が開いており、日本でのISA導入に関して、おおまかな方向性はすでに決定されている。
日本でも制限速度以上は出すことができない日の到来は、そう遠くないかもしれない。