毎年のように台風やゲリラ豪雨などの大雨による被害が日本各地で発生している。ある日突然、自分のクルマがいつ水没するもしれない。そこでもし車が水没してしまった場合の対処手順とその後の処分について予習しておこう。
水没して車内に取り残されたら
まずはすぐにエンジンを切る

電装部品やエンジンまで浸水してまうと、故障だけでなく漏電した箇所から発火する恐れがある。また、水に浸かった車は見た目に問題がなさそうでも、内部の機器に問題が起きている場合が大半。感電やショート等による火災が発生する可能性があるので、自分でエンジンをかけることはやめよう。
サイドガラスを割る

車がドアまで水没しはじめると外側の水圧でドアが開かなくなる事もある。60㎝ほど水没してしまうと、人の力でドアを開けるのは困難だ。窓が開けられればそこから脱出できるが、水で電装部品が壊れていると窓の開閉操作ができなくなる。こういう時に備えて緊急脱出用ハンマーがあると便利。いくらもしないので備えておくと良いだろう。
車の外に出る

もし緊急脱出用ハンマーがない場合は、車内にある程度水が入るまで待つ。車内にある程度水が入ると、車内にも水圧が働く。そうすると車外の水圧との差が小さくなり、ドアが開けられるようになる。そのとき、足でドアを蹴って開けて脱出することができる。愛車に蹴りを入れるなんて心が痛むが、自分の命を最優先してほしい。
車の外に出てから
レッカー車を手配

ロードサービスなどに連絡し、車両の引き上げ・整備工場への入庫を手配しよう。車両火災が発生する恐れもあるため、待っている間は車から離れ、安全な場所に退避することが大切。水没した車内で待機するのは危険なので止めよう。
事故やトラブルが発生した際に、現地の写真・状況を送ることで対応してくれる。会員でなくてもJAFを呼べる。JAFは「バッテリー上がり」「キーの閉じこみ」「タイヤのパンク」などの
路上でのトラブルを24時間体制で対応してくれる。そして何よりJAF優待割引サービスが激アツ。例えばイオンシネマでは500円引きになったり、カラオケ館では室料30%割引になる※等、人によっては余裕で元が取れてしまうサービス。入会するにあたり車両番号の届出は不要。基本料金は入会金2,000円、年会費4,000円/1年。※2022年8月末現在。使用条件がある場合があります。ご確認の上ご使用ください

被災状況を写真で記録

レッカーの手配が済んだら、心が痛むが被災状況がわかるように写真を撮っておこう。廃車手続きをする場合や自動車税の免除を受ける等のために「罹災(りさい)証明書」が必要となることがあり、この罹災証明書を発行するには被災状況がわかる写真が必要だからだ。
整備工場へ移動してもらう

レッカーが到着したら近くのディーラーか整備工場に車を運んでもらう。そこで車のダメージを確認してもらい、そもそも修理できるのか、修理した場合どれほどの金額がかかるのかを見てもらう。
修理するか廃車にするか決める

ディーラーや整備工場で車をみてもらったら、修理するか廃車にするかを決める。エンジンや電気系統に異常がある場合は、修理費用が高い傾向。修理費用が車両保険の限度額より高くなったり、買い替えたほうが安く車に乗れるケースもあるので、見積りを比較して選ぼう。保険会社の担当によれば車が水没してしまった人の多くは買い替えを選んでいるとの事だ。
車が水没するとどうなる?
エンジンの破損

エンジンはエアクリーナーから空気を取り込み、ガソリンと取り込んだ空気を圧縮して、その力を利用して動いている。しかしエアクリーナーが水没してエンジンに水が入ると、ガソリンと空気を圧縮できず車は動かない。このエンジンを修理するには、エンジンを分解・整備するオーバーホールとエンジンを新品・リビルト品・中古品に載せ替える方法がある。しかし、どれも修理費が高額になる場合が多い。
電気系統のトラブル

車の床は内装が貼られており、たくさんの配線が通っている。またECU(エンジンコンピューター)やエアバッグのコントローラーなど基盤を含んだ制御装置が床に取り付けられている車も多くある。もしこうした部分が水没してしまうと、ショートして車は動かなくなる場合がある。床が水没してしまった車に乗り続けるなら、床面一式の部品を交換しない限りショートして動かなくなるリスクが付きまとう。そうなると当然修理費も高額になる場合が多い。
カビや異臭が発生

車は一度水に浸かってしまうと車内にカビが発生しやすくなる。またシートが汚水や泥水を吸い込んでしまい、異臭がする。車内をキレイにできたとしても、見えない車体内部のカビを全て取り除くのは難しい話。仮にクリーニングをしても表面的な部分は元に戻せるが、後からサビが出たり、カビが繁殖したりすることもある。
水没した車は修理?それとも買い替え?
中古車として売る

水没した車でも、浸水した範囲がフロアまでで、ダメージが少なければ中古車として売ることができる。ただし、当然もともとの車の価値が低かったり、エンジンやマフラーなどにダメージがあると、買取価格が低くなり、価格がつかないこともある。
修理して乗り続ける

色んな思い出の詰まったマイカーを売りたくないという方もいるだろう。浸水したのがフロアカーペット程度であれば、修理して車に乗り続けるのも選択肢のひとつ。車両保険を適用すれば、修理費を抑えられる可能性もある。しかし、エンジンやマフラー、電気系統が水没で損傷すると、数十万円〜数百万円と高額な修理代がかかります。さらに修理したとしても元の状態に戻るわけではない。残念だが安全面を考慮すると買い替えるのが妥当と言えるだろう。
廃車にする

修理できない場合や、買い取ってもらえない場合は、最後に廃車にするという選択肢が残る。廃車にする車を買取ってくれる業者を利用すれば、無料で必要な手続き代行してくれるので、その際は利用してみるといいかもしれない。
大事な愛車が水没してしまった時への備えとして、加入している自動車保険の補償内容を確かめることも大切。一般的に豪雨による車の損害は、車両保険から保険金が支払われる。急な天候の変化には充分注意しよう。そして水没してしまった時に限らないが、命を最優先してほしい。