トヨタは退屈なエコカーメーカーという評判を覆すべく、2017年からGazoo Racing(ガズーレーシング)ブランドを展開しており、GRヤリスはWRCのホモロゲーションモデルとして開発された、GRブランド2つ目の車です。
搭載されているエンジンは「1.6L 直列3気筒ターボ」と小さめなエンジンにもかかわらず、驚異的な272馬力を発生させる変態的なスペックの持ち主です。
ノーマルでさえ十分すぎるパワーですが、オーストラリアのチューナー「パワーチューン・オーストラリア」は最近、そのパワーをさらに強化して、実に純正の2.7倍以上にあたる741馬力をひねり出すことに成功しました。「げっ歯類」という不思議な名前が付けられたこのトヨタ GR ヤリスには、一体どのような魔改造が施されたのか見ていきましょう。
トヨタGRヤリスは優れたラリーレーサー
GRヤリスは、WRCを制覇するという明確な使命を胸に誕生した車です。トヨタは元々、ノーマルのヤリスをベースに競技車両を作るという壮大な計画を立てていました。しかし、熾烈なライバルを見て考えを変えたのです。
そこで、トヨタは新しいラリー競技車両のために3ドアのプラットフォームを開発し始めました。ラリーのレギュレーションでは、既存のロードカーをベースにしなければなりません。さらに、WRCのホモロゲーション要件を満たすためには、トヨタは25,000台以上のGRヤリスを生産しなければなりません。
GRヤリスは先代モデルと表面的には似ていますが、その中身は別物。エンジニアたちは、通常のヤリスのフロント半分とCH-Rクロスオーバーのリヤを組み合わせて、まったく新しいシャシーを作り上げました。小柄なボンネットの下に潜むのは、ターボ&インタークーラー付き1.6リッター3気筒エンジン(GRカローラに搭載されているものと同じ)。
純正のGR ヤリスは、272馬力の出力と37.7 kgfのトルクを発生し、6速マニュアルを介して4輪すべてを駆動します。
オーストラリアンなネーミングセンス
巨大なクモやカンガルーがいる国では272馬力は物足りないのか、「パワーチューンオーストラリア」は独自の手で問題を解決することにしました。彼らの目標は、強力なマクラーレン 750S などのスーパーカーの出力に匹敵することでした。
後から少し手を加えた結果、GR ヤリスの3 気筒エンジンは 8,117 rpmで驚異的な741 馬力を発生しました。これは、717馬力を発生するV8マシン、ダッジ チャージャー SRT ヘルキャットよりも高いパワーです。
注目すべきことに、パワーチューン オーストラリアは、純正クランク、ピストン、ロッドを維持しながら、これらの数値を達成することに成功しました。
では、彼らはどうやってそれを実現したのでしょうか?その答えは、強力なギャレット製 G30-770 ターボチャージャーやより強力なヘッドガスケットなど、厳選された多数のアップグレードを実装することです。
迫力をさらに高めるために、エキゾーストをアクラポビッチに交換しました。GRヤリスには、真新しいインタークーラーとカスタムターボエキゾーストマニホールドも装備されています。その後、新しい Motec ECU を利用してエンジンのパフォーマンスを調整しました。
この大幅に改造された GR ヤリスの強烈なねじれ力に対処するために、パワーチューンオーストラリアは X-Shift シーケンシャル トランスミッションを選択し、電光石火のギアチェンジを実現するアフターマーケット クラッチと組み合わせました。
チューニングされた GR ヤリスは「げっ歯類」という、中々にオーストラリアンなニックネームが付けられ、1 つの問題も発生することなく 30 回以上のダイナモ走行を完了したとの事です。これ程のパワーがありながら、信頼性も確保しています。
画像出典:パワーチューン・オーストラリア