自動車コンテンツクリエイターのラリー・チェンは、いくつかの印象的な日産 GT-R をチェックするためにオーストラリアに滞在していました。その中で、ひときわ異彩を放つ、奇抜な塗装が施された1 台が彼の目にとまりました。ラバンズ・セールス氏が所有するこの壮大なGT-R は、チェン氏によるとミッドナイト パープル III よりも高価であると言われている塗装だそうです。
なぜこの塗装が特別なのか?

このR34 GT-Rの塗装は「PPG Hallock 3D」と呼ばれるカメレオン塗装です。
これは、ミッドナイト パープルからインスピレーションを得たもので、色が互いに移り変わる様子はとてもドラマチックです。オレンジが加えられている事により、塗装の見た目も明るくなります。
オーナーは、その壮大で質の高い塗装のおかげで、これまでに2回イベントの賞を獲得していると説明しています。
この塗料は非常に高価で、1 リットルあたり2,500オーストラリアドル、日本円で23万4180円になります。これは 1 リットルあたりの金額ですが、スポーツカー全体を塗装するために実際に合計24 リットルを購入したため、合計で562万円かかっている計算になります。この金額は一番安い中古のR35 GT-Rが変えてしまうほどの金額です。
派手なのは外装だけじゃない

もともと、この日産 R34 GT-Rの色はシルバーで、オーナーが結婚式の1週間前に買ったものでした。ボンネットの下にはスカイライン GT-R の代名詞となった RB26 エンジンが搭載されていますが、外観デザインと同様にエンジンルームもド派手です。
塗装にこれほどのコストがかかる理由の1つは、エンジンルーム、ブレーキ システム、キャリパーも同じ色でペイントされているためです。
塗装は耐熱性も備えているため、ブレーキやエンジンの熱によってエンジンルーム内の色が損傷しにくくなっています。また塗装は、エンジンルーム内に留まらず、フェンダーの下やドアのヒンジなど、外側からは見えないような部分にまで及んでいます。
後部にはNOSを搭載

当然エンジンにも手が加えられており、市場で入手できる最大のヘッド スケットである HKS 62が使用されます。エンジンはダイナモで829馬力を発生し、最大トルクは1762Nmというとてつもないパワーを発揮します。

これだけでも十分すぎるぐらいパワフルですが、オーナーはトランクにNOSを仕込み、更なるパワーアップを実現しています。このNOSは、GT-Rの速度を大幅に向上させるというよりも、ターボにもう少しブーストを与え、通常よりも速く速度を上げることを目的としています。
有り余るパワーに対処するために、オーナーはブレーキを改良し、R35 GT-R用のブレーキを車に取り付けました。

これだけ派手なGT-Rですが、インテリアに関しては非常にシンプルです。オーナーはインテリアのカスタムを望まず、内装は可能な限り純正のまま残しました。彼は子供たちを車に乗せる日もあることを考えて、車内が工場出荷時と同じくらい快適であることを望んだのです。