この数年間、毎日のようにSNSで「車が盗まれました」といった投稿を見かける。車そのもののセキュリティや、セキュリティグッズだって進化しているはずなのに、どうして未だ車両の盗難が絶えないのか?その手口と最新の対策商品について調べてみた。
どうやって盗むの?

・CANインベーダー
最近よく耳にする方も多いだろうこの手口。クルマの頭脳であるECUから車両の隅々まで張り巡らされているのがCAN信号という配線だ。このCANは人間でいう所の血管や神経に当たり、これをインベード(侵入・侵略)して解錠やエンジン始動などを行う盗難手法。従来では2つの機器を利用して車両の盗難を行っていた。1つ目の機器でエンジンルームやバンパー内を通るCAN配線に機器を割り込ませる。そして機器からセキュリティやドアロックを解除した後、車に乗り込み、2つ目の機器でOBDⅡコネクタに始動専用の機器を接続してエンジンを始動させていた。しかし、最近では2つの機器の機能を併せ持つ機器が数十万で出回っており、短時間での犯行が可能になってしまった。
・リレーアタック
スマートキーを利用した盗難の手口。スマートキーは常時1~1.3m前後の範囲に微弱な電波を発していおり、車側が高周波の電波をスマートキーに発信してIDを照合して解錠・エンジンスタートが可能になる。リレーアタックはこの微弱な電波を「機器を使って受信・増幅させる役」、「中継する役」、「届いた電波を利用して解錠・窃盗する役」の3役のしょうもないリレー形式で車を盗む事だ。
・コードグラバー
コードグラバーとはそもそもスマートキーのスペアをつくる機器の事。車のオーナーが車を降りてドアを閉める時を狙い、犯人がコードグラバーを使ってオーナーが持つスマートキーのIDコードを自動的に読み取り、スマートキーのIDコードをコピーする。このスマートキーのIDをコピーできればドアの解錠・エンジン始動までが行える。コードグラバーの有効範囲も100~500mと広いのも特徴だ。
盗んだ後はどうするの?

盗まれた車は即座に解体ヤードに持ち込まれ、1~2日で解体されてしまう。以前はほぼすべてが自動車部品として違法輸出されてたが、早くて楽に換金できるという理由でネットオークションやフリマサイトで裁かれるケースが増えている。こういったサイトは匿名で出品が可能で、名前や住所を偽っていても出品・取引ができる。ゆえにアシが付きづらく、警察も介入できない場合が多い。
豆知識

・過去3年で盗難被害にあった車ランキングTOP5は「ランドクルーザー・レクサスLX・プリウス・アルファード・クラウン」とトヨタ車ばかりランクイン。これはトヨタ車の海外需要が強いためだ。
・盗まれた車が無傷で手元に戻って来る確率は10%を下回ると言われている。
・愛知県ではレクサスLXの盗難が多く、5台に1台が盗まれると言われている。愛知県在住の有名Youtuberも盗まれたと話題になった。
・盗まれにくい車ランキング1位はメルセデスベンツ Eクラス。
・都道府県別の車両盗難発生ランキングTOP5は順に「愛知県・千葉県・大阪府・埼玉県・茨城県」。
盗まれないようにするには
・スマートタグ
AirTagなどのスマートタグは盗難対策にも役立つ。いざ盗まれたとしても、追跡することで車を取り戻せる可能性が高まる。ポイントはスマートタグを複数個車に仕込む事だ。電池も1年ほど持つ。アンドロイドユーザーはTile シリーズがオススメ。
・ハンドルロック
言わずと知れた盗難対策グッズ。簡単に切断することができない高硬度合金鋼素材や特殊合金を使ったものがオススメ。警報機が鳴るセンサー付きのモデルもあるので是非チェックしてもらいたい。購入前に装着したい車のハンドルの径を確認しておこう。
・タイヤロック
タイヤに大型のロック装置を取付け、タイヤを回転しないようにする盗難防止グッズ。車のみならず、ホイールだけ盗まれるというケースも多く存在するので注目したいアイテムの一つ。重くて取り付けが手間に感じるのがデメリットだが、長期間車を動かさない場合などでは活躍するだろう。
・セキュリティアラーム
異常を検知したときホーンや警報を鳴らし、犯人を威嚇・犯行を周知させるグッズです。ほとんどの車に標準装備されているが、社外品では動作条件を設定することができる。それゆえセキュリティ性能は高いといえる。
車の盗難防止対策は今やマストという時代。どの防犯アイテムも万全ではない。窃盗グループは用意周到な計画と専門技術や工具を使う。しかし、解除作業に時間がかかると、それだけ通報される危険性が高まる。複数の防犯グッズを組み合わせることで時間稼ぎをするのが重要だ。