日本車は過去50年ほどの間、アメリカで大ヒットしています。ホンダ シビックやトヨタ プリウスのような信頼性が高く燃費の良い車は、長い間人気を維持しており、その販売台数はすぐに減速する気配はありません。しかし、日本にあるアメリカ車はそうではありません。事実上逆で、アメリカ車は日本ではあまり売れていません。その理由とは一体なんでしょうか?原因は様々な要素が複雑に絡み合っていますが、その中でいくつかピックアップしてみました。
アメリカ車と日本車の違い
ご想像のとおり、アメリカと日本の自動車購入市場には多くの違いがあります。多くの人がパッと思いつく理由と言えば右ハンドルか左ハンドルかの違いでしょう。
日本は左側通行の国なので、国産車はすべて右ハンドルです。対してアメリカは右側通行の国なので、左ハンドルの車が主流です。そんなアメリカから輸入される車は大きく分けて正規輸入車か、並行輸入車になります。
正規輸入車でもジープのように右ハンドルを取り扱っているブランドもありますが、キャデラックやシボレーなど、左ハンドルしかないブランド・モデルもあります。また、フォードやダッジなど日本に正規代理店の無いブランドだと、基本的にアメリカから輸入することになるので左ハンドルの車が日本に来るわけです。
ではなぜアメリカ車は右ハンドルを設定しないのでしょうか?これには大きく2つの理由があります。まず1つは採算が合わない事。そして2つ目は他国用に右ハンドルの設定があるのにもかかわらず、日本にはあえて左ハンドルを持ってきている事です。
別の視点
もう1つのアメリカ車が日本で売れない主な理由は、両国のディーラーと顧客の関係に明確な違いがあるためです。
アメリカでは車のメンテナンスや新しい車を買うためにディーラーに行っても30分もいません(筆者がアメリカに住んでた時はそんな感じだった)。というのも日本のように契約書にサインしてから注文というより、在庫から買うのが一般的だからです。
しかし、日本での経験は大きく異なります。ディーラーは顧客との関係を築き、長期にわたってビジネスを維持できるようにするだけでなく、可能な限り最高の顧客サービスを提供します。
顧客が新車を購入する準備が整うと、ディーラーは試乗のために車を配達したり、保険も手配することもあります。さらに、車の最初のメンテナンスは無料の場合もあり、ディーラーによっては顧客の家から車を引き取り、サービスが完了した後に車を返却するサービスも行っています。
日本国民は長年にわたってこの種のサービスに慣れてきましたが、アメリカの自動車会社が慣れているものではありません。
さまざまな好みとステレオタイプ
日本のディーラーが顧客とより共生的な関係を築いていることは別として、日本の自動車購入者の多くは、アメリカ車を日本の製品と比較して製造品質に欠ける燃費の悪い車と思っています。実際筆者のまわりのアメリカ車オーナーも「アメリカ車って壊れるの?」とよく質問されると言います。
実際、日本で販売されている自動車の95%以上が日本の自動車メーカーであり、残りはほとんどがポルシェやBMWなどのヨーロッパの高級ブランドで構成されています。
もちろん車の大きさも重要です。日本の道はアメリカの道と比較して狭く、とても混雑しています。これは軽自動車が日本で人気を博した理由の1つです。
比較的巨大なアメリカ車は、小さい車に慣れている日本人に不安を感じさせる事もあります。また、アメリカの自動車メーカーが、日本市場であまり人気のない大型SUVやピックアップトラックに重点を置いていることも理由の1つです。
アメリカ車が日本に再進出!?
アメリカのブランドが日本でうまくいかない理由として左ハンドルであることや、車が大きいことなどは想像がつくかもしれませんが、車の購入方法やサービスが日本とアメリカでは異なる事も理由の一つなのです。しかし、これからはEVの時代。日本でもテスラ車を見る機会が増えています。テスラのように、ネットで注文できるなどの画期的な販売方法で、アメリカのEVが今後日本に再進出してきてもおかしくはありません。