車のに付いているヘッドライト、グリル、バンパーって、まるで2つの目、鼻、口のように見えませんか?
車のフロント周りは、その個性を表すように設計されています。ダッジ・チャレンジャーの悪魔のような外観やマクラーレン・アルトゥーラの不気味な笑顔など、それぞれの車に独自の個性を与えています。
ではなぜ自動車はそのような設計をしているのでしょうか?それ知るには、自動車産業の最初の年までさかのぼる必要があります。
車のフロントがどのように進化したか
1800年代後半。黎明期の車は、まるで水から上がった魚のように見えます。これらの初期の車のフロントには通常グリルがなく、ヘッドライトが2つあるだけでした。時が進むにつれて、車はより強力になり、保護されたラジエーターが必要になりました。
1908年、フォードはT型フォードを発売しました。その低価格と大量生産により、T型フォードは一般の人にも手に届きやすくなりました。車を魅力的に見せるための競争や実際の必要性はなかったので、車のフロント周りはシンプルで機能的でした。
デザイン革命
1930年代と1940年代に自動車のデザインに革命が起こり、流線形のデザインと大胆なクロームメッキのグリルを備えられるようになりました。自動車が単なる”馬のない馬車”以上のものになると、自動車メーカーはさまざまなグリルの形状やデザインを試し始めました。これらのデザインは現代の自動車設計にまで繋がる血統の始まりでもあります。
1940年代半ばに向かって、自動車メーカーのビュイックは「toothy grin(歯を見せる笑顔)」と呼ばれるデザインを導入しました。この革新的なグリルは、まるで歯のような水平バーを特徴としていました。このデザインは大ヒットし、他の自動車メーカーも同様のデザインを自社の車に取り入れました。
その後、アメリカンではマッスルカーの黄金時代が到来しました。1960年代から70年代にかけて、シボレー・カマロやフォード・マスタングなどのマッスルカーが道路を席巻しました。自動車メーカーは、群衆の中で目立つようにフロントフェイスのデザインを開始しました。この時代の車は、ボンネットの下に潜む巨大な力をほのめかすシャープなラインと大胆なグリルを備えた、アグレッシブで角張ったデザインが特徴です。
こんな錯覚現象を経験したことないですか?
人間は雲やコンセントなどを見た時に、「顔みたいだなぁ」ととらえる事があります。これはパレイドリアと呼ばれる現象で、視覚で得た対象を実際とは異なる別の既知のものとして認知・解釈してしまう事を意味します。
このパレイドリアは、私たちの祖先が影に潜む捕食者などの潜在的な脅威を認識して反応するのに役立つ進化的特性です。 ですから、車があなたを見つめているように感じたら、私たちの祖先にとってパレイドリアがどれほど役に立ったかを思い出してください。
顔のようなデザインで車に個性を与える
車には個性があります。アメリカのマッスルカーを好む人もいれば、ヨーロッパのスーパーカーを好む人もいます。その個性の一部はボンネットの下に埋め込まれていますが、車のデザインには個性の断片が散らばっています。
車のフロント周りは、その車の個性がどのようなものであるかを示す第一印象であり、自動車メーカーはそれを上手く活用しているのです。