ミニ・クーパーは、経済的で安価、そして「ゴーカートフィーリング」と呼ばれるほど運転が楽しいことで知られています。
しかしながら、今月発表された新型Miniには「操る楽しさ」の代名詞であるマニュアルトランスミッションがありません。この決定は同社を破滅へと追い込むのでしょうか?
新型ミニ・クーパーはマニュアルを廃止
遡る事今年5月、Miniの最高経営責任者(CEO)ステファニー・ヴルスト氏はAUTOCARの取材に対し、「マニュアルトランスミッションがこの世界で長く続くことはないとブランドが99%確信している」と語っていました。
これに対し、Mini社の人物が匿名でThe Drive紙の取材に応じ、「99%は100%ではない」とし、3つのペダルを備えた新型Miniにはまだ希望があると語っており、一部の高性能モデルにのみマニュアルが設定されるのでは?と噂が広まっていました。
しかし、ヴルスト氏は今月の新型ミニ・クーパーの発表会で「残念ながら、マニュアルの設定はありません」と明言しました。
これは実に悲しいニュースです。Miniは、1959年の創業以来、マニュアルトランスミッションモデルを販売し続けてきました。この決定は、これまでにフェラーリやランボルギーニなどで見られたものと同様に、自動車業界におけるパラダイムシフトを表しています。
なぜミニはマニュアルトランスミッションを廃止したのか?
MiniによるとJCW(ジョン・クーパー・ワークス)を購入した顧客の約45%はマニュアルを選んでいるとのことです。これは、ポルシェが911で行っているような、よりハイスペックな愛好家向けモデルにマニュアル設定を残すのに十分な売り上げです。それでもMiniはマニュアルトランスミッションを廃止しました。
ほとんどの自動車メーカーにとって、マニュアルを廃止することは十分に理にかなっていると言えます。統計的に見て、マニュアル車の運転方法を知っている若い世代のドライバーはほとんどいません。
また、かつて3つのペダルを踏んできた世代も、「もう若くないから」や「オートマの方が楽」「昔の車はよかった(今のマニュアルは楽しくない)」などとオートマ車を選ぶ傾向にあります。これにより、マニュアルトランスミッション車の販売台数は激減しました。
自動車会社というのは、消費者に都合の良い商品を作る集団ではなく、お金を稼ぐために存在しているわけですが、マニュアルはあまりお金を稼いでいません。
良薬は口に苦し
ミニがマニュアル車を作らないのは、左足の靴を2つ履いているようなものですが、数年後には全車電気自動車に移行することを考えると、3つ目のペダルからの移行は理にかなっているいます。
とはいえ、この自動車業界全体の流れは、3つのペダルを踏んで育った人々にとって、飲み込みにくい薬のようなものです。
Miniの3番目のペダルよ、安らかに。寂しくなります。