余暇の過ごし方は人それぞれです。ゴルフをする人もいれば、ボンネットの下をいじる人もいます。しかし、裏庭で非常識なアイデアを試すことで知られるYouTuberのクリス・ロリンズは、ゴミ箱をガソリンで動くロケットに変えることにしました。彼はこのプロジェクトを、ホンダの”偽エンジン”を使って実現しました。
クリスにはシンプルな 3 つの目標があります。それは、ゴミ箱の中に座れること、ゴミ箱の速度記録を破ること、そしてプロジェクトが終了した後もゴミ箱を使用できることです。
クリスは YouTube 動画で、時にはほぼ文字通り、いくつかの障害物にぶつかりました。しかし、レースカードライバーを自称する彼の、世界最速のゴミ箱を作るという試みを妨げるものは何もありませんでした。
6.5馬力の偽ホンダエンジンからすべてを搾り取る
世界最速のゴミ箱を作るにはまず、エンジンが必要です。当然スポーツカーと違って、ゴミ箱は空力的に効率が悪いのですが、ゴミ箱の形状を変えたり、湾曲させたりするのはレギュレーション違反なので、彼は空気抵抗の問題を解決するかわりに、パワーを上げることにしました。
クリスは、インターネットから安いホンダのクローンエンジン(OEMエンジン)を買ってきて、装置の動力源としました。ビデオでは、6.5馬力を発生すること以外、エンジンの詳細は明らかにされていません。しかし、ゴミ箱の最高速度を出すには2桁の馬力が必要で、12馬力にチューンアップしました。
世界最大のショッピングカートがそうであるように、V8を搭載したゴミ箱が期待されますが、これは彼の目的ではなく、彼は単に45.35mph(約72km)という既存の世界記録を破りたかっただけなのです。
この記録は、イギリスのアンディ・ジェニングスが樹立したもので、立ったまましか操作できない仕組みになっています。クリスは、具体的な数字は考えていませんでしたが、自分のゴミ箱を「それ以上の速さにしたい」と話しています。
クリス・ロリンズ、ゴミ箱を作り直す
プラスチックでできた普通のゴミ箱で道路を飛び出すなんて、命知らずもいいところです。それでいてビデオの冒頭で、クリスは世界最速のゴミ箱の製作が、綿密な計画を持っていなかったため、思いつきで行われることを認めています。
漠然としたイメージを持っていた彼は、十分な地上高を確保しながら車輪を搭載できるシャーシを作り始めました。フレームが完成したところで、車輪を取り付けることになったの ですが、そこで新たなジレンマにぶつかりました。バランスをとるために4輪にするのは当然ですが、2輪のステアリングには多くのエンジニアリングが必要なのです。
そこでクリスは、世界初の自動車である3輪のドイツ・モーターワーゲンにヒントを得て、ステアリングのアライメントにまつわる数学的な問題を回避しました。
そして、そのゴミのような車に、新しいブレーキと青い前輪を装着し、世界記録を更新する準備が整いました。クリスが「She’s my big ugly baby」と認めたように、完成品はそれなりに醜いものです。
ゴミ箱が記録を塗り替える
レース仕様のゴミ箱は、テキサス州のレッドラインレースウェイで ドラッグストリップの処女航海に出発しました。クリスによると、世界新記録を達成できるかどうかは、8マイル(約12km)のコースと、ちょっと荒っぽい操作、そして生きる気力が重要とのことです。
ゴミ箱のステアリングと加速は、トライクバイクを模していますが、快適性はありません。ハンドルを握り、クリスはドラッグストリップを走り出しました。空力の悪夢を思わせるような加速で、これまでの世界記録を更新するのに時間がかかりました。
約10秒後、クリスは前回の記録である時速45.35マイルに到達し、さらに速度を上げて時速62マイル(99kn/h)の新記録を樹立しました。
しかし「ゴミ箱は蓋を開けた方が速い」ということを検証するために、クリスは再びスタートラインから出発しました。その最高時速は61マイル(約98km)でした。
横転して死にかける
すでにアンディ・ジェニングスを上回るスピードが出ているにもかかわらず、クリスは自分のマシンの本当の実力をまだ引き出せていない気がしました。そして、最後にもう一度スロットルを踏み込み、最高速度を超える加速を試みました。しかし、3回目の挑戦は時速63マイル(101km/h)と、記録を1マイル上回ったものの、上手くはいきませんでした。
時速63マイルに達した後、ゴミ箱は制御不能に陥り、横転し、ゴミ箱の側面をコースに引きずりながら何度も転がりました。ゴミ箱の最速クラッシュの新記録を樹立したものの、クリスは幸いにも無傷でこの事故から生還しました。
クリスのゴミ箱は3回目の走行でリタイアし、その翌日にはいつもと同じように、ゴミ箱として役目を果たしています。